屋根材と断熱は、何を基準に選ぶ?夏の暑さ・冬の寒さと30年の手入れ

屋根と天井に断熱材が入った家の断面と、中で過ごす家族の絵

夏の子ども部屋の暑さも、冬の朝の寒さも、屋根まわりの選び方と関わっています。屋根材で変わることと変わらないことを、国の基準と公的な目安で順に整理します。

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先に結論

  • 断熱は、家全体の断熱等級と、屋根や天井の断熱材の熱抵抗値で選びます。新築は2025年4月から、省エネ基準(断熱では等級4)を満たすことが義務です。
  • 屋根材は、重さと手入れの回数で選びます。全面の葺き替えを考える目安は、金属板で10〜15年、化粧スレートで15〜30年、瓦で20〜30年です。
  • 遮熱塗料は屋根の表面温度を下げますが、環境省の実証(工場のモデルでの計算)では、室温の差は1.4℃でした。断熱の代わりではなく、上乗せと考えます。

暑さ・寒さを決めるのは、屋根材より断熱

夏に屋根が受けた日差しの熱が、どれだけ部屋に伝わるか。冬に暖めた部屋の熱が、どれだけ外へ逃げるか。国の基準は、これを屋根材の種類ではなく、断熱材や窓の性能で決まる家全体の数値で確かめます。

その物差しが「断熱等級」(断熱等性能等級)です。主にUA値(家の外側から逃げる熱の量を、外に接する面の広さで割った値。小さいほど熱が逃げにくい)で決まります。

等級位置づけUA値(6地域)
等級4省エネ基準。2025年4月から新築に義務0.87以下
等級5ZEH水準0.60以下
等級6戸建ての上位等級0.46以下
等級7戸建ての最上位0.26以下

全国は気候で8つの地域に分かれ、基準値は地域ごとに違います。大阪市や堺市は6地域です。

表の等級4が、2025年4月から全ての新築に求められている水準です。増築や改築では、工事をする部分が対象になります。国はこの基準を、遅くとも2030年までにZEH水準(断熱では等級5)へ引き上げる予定です。

出典:国土交通省の省エネ基準・住宅性能表示制度の資料(最後の「出典」の1〜4)

屋根の断熱材は「熱抵抗値」で比べる

断熱材には、グラスウール、ロックウール、吹き付けのウレタン、セルロースファイバー(古紙などを原料にした綿状の断熱材)など、多くの種類があります。名前で選ぶより、熱抵抗値(R値。熱の伝わりにくさを示し、大きいほど性能が高い)で比べるのが確かです。同じ材料なら、厚いほど大きくなります。

国の仕様基準(部位ごとに断熱材の性能を確かめる方法)では、6地域を含む4〜7地域の木造の家で、骨組みの間に断熱材を詰める工法(充填断熱)の場合、省エネ基準に必要な熱抵抗値は、屋根で断熱するなら4.6以上、天井なら4.0以上です。高性能グラスウール16K相当では、厚さがそれぞれ175mm、152mmほどになります。

見積もりには、断熱材の名前だけでなく厚さと熱抵抗値も書いてもらうと、会社ごとの提案を同じ物差しで比べられます。

書いている私(RYU)の場合

今の家に移る前、2年ほど築50年を超える古い家で暮らしました。夏は暑く冬は寒く、家の中の音も外へ筒抜けでした。

2023年に買った家をリノベする時は、断熱材にセルロースファイバーを選び、窓も断熱性の高いものに替えました。今は冷暖房がよく効き、窓を閉めれば外の音もほとんど聞こえないと感じています。子どもが夜に泣いても、ご近所に気をつかわずに過ごせるようになりました。窓も同時に替えたので、どの工事がどれだけ効いたのかは分けられません。

屋根材は、候補の費用がほぼ同じだったので、手入れの回数が少ない方を選びました。

出典:国土交通省『住宅の仕様基準・誘導仕様基準について』(最後の「出典」の5)

屋根材は「重さ」と「手入れの回数」で30年が変わる

屋根材点検全面の葺き替えを考える時期
金属板葺き2〜3年ごと10〜15年くらい(塗り替えは3〜5年ごと)
化粧スレート葺き4〜6年ごと15〜30年くらい
瓦葺き5〜6年ごと20〜30年くらい

住宅金融支援機構「マイホーム維持管理の目安」より、一戸建て(木造住宅)の大体の目安です。建物の立地や使い方、日ごろの点検や手入れによって変わります。

30年住むなら、全面の工事が何回来るかを数えてみると、初めの費用だけでは見えない差が見えてきます。製品ごとの保証の年数と、その条件になっている点検や塗り替えは、見積もりの段階で確かめておくと安心です。

屋根の重さは、地震への備えにも関わります。2025年4月以降に着工する木造戸建てでは、壁量計算(地震などに耐えるのに必要な壁の量の計算)で、屋根を「重い・軽い」に分ける区分がなくなり、算定式で必要な壁の量を求めるようになりました。

瓦屋根は台風の被害を受けて、2022年1月以降に新築などをする場合、全ての瓦を留めつけることが義務になりました。それより前の屋根をすぐ直す義務はありませんが、国土交通省のサイトにある資料は、2001年より前に建てて、その後に屋根を直していない瓦屋根や、瓦のずれや大きな割れがある屋根について、専門家による診断を勧めています。

点検のために自分で屋根に上がるのは、転落の危険があります。機構も、修理は専門の業者に頼むよう呼びかけています。

出典:住宅金融支援機構、国土交通省のリーフレットと瓦屋根の資料(最後の「出典」の6〜8)

遮熱塗料は、断熱の代わりにはならない

遮熱塗料(日射を反射しやすくした塗料)は、屋根の表面が熱くなるのを抑えます。環境省の実証事業では、灰色の高反射率塗料を鉄骨造の工場の屋根に塗った場合を、大阪の気象データで計算しています。

項目一般の塗料との差
夏の14時の屋根の表面温度5.6℃低い
冷房なしの室温1.4℃低い
8月の冷房の負荷2.1%減る
2月の暖房の負荷3.0%増える

モデルの工場を想定した計算で、住宅にそのまま当てはまる数字ではありません。報告書は、白に近い色では一般の塗料との反射率の差はほぼ無いとしています。

表面温度は大きく下がっても部屋の温度の差は小さく、冬は日差しの熱まで跳ね返して、暖房が少し増える計算です。まず断熱材で熱の出入りを抑え、遮熱は夏の暑さへの上乗せとして考えます。

出典:環境省の実証試験結果報告書(最後の「出典」の9)

見積もりの前に、家族で確かめておくこと

工務店に聞いておくこと

  • 家全体の断熱等級(新築は4以上が必須)
  • 屋根か天井の断熱材の種類・厚さ・熱抵抗値
  • 屋根材の保証の年数と、そのための点検や塗り替えの条件
  • 古い瓦屋根なら、留めつけの状態と、屋根の重さを含めた耐震

今の家の断熱をリフォームで見直すなら、国の「みらいエコ住宅2026事業」があります。2016年末までに建てられた家が対象で、躯体(床・壁・天井)の断熱改修も含まれます。予約は遅くとも2026年11月16日、申請は遅くとも12月31日までで、予算に達するとその時点で締め切られます。条件の細部は、工務店や公式サイトで確かめてください。

大きなリフォームで建築確認が要るかどうかは、工務店に頼む時の記事にまとめています。

出典:みらいエコ住宅2026事業、住宅省エネ2026キャンペーン(最後の「出典」の10・11)

書いた人

子育て家族の住まいを、30年のお金で考える。

RYU

築50年ほどの戸建てを買い、自然素材でリノベーションした2児の父です。

  • 工務店と打ち合わせを重ねて、フルリノベーション
  • 窓の断熱リフォームで、国の補助金を活用
  • 数字は国や自治体、メーカーの資料で確認

建築士・宅地建物取引士ではありません。工事や契約は、工務店や専門家に確かめてください。

次に読む

出典(一次資料11件・2026年10月21日に確認)
  1. 国土交通省『省エネ基準引き上げへ。脱炭素化も。』(適合義務と引き上げの予定/2026年10月21日確認)
  2. 国土交通省『令和4年度改正建築物省エネ法の概要』(新築と増改築/2026年10月21日確認)
  3. 国土交通省『住宅性能表示制度における省エネ性能に係る上位等級の創設』(1〜3頁/2026年10月21日確認)
  4. 国土交通省『地域区分新旧表』令和2年7月時点(大阪府/2026年10月21日確認)
  5. 国土交通省『住宅の仕様基準・誘導仕様基準について』(9頁/2026年10月21日確認)
  6. 住宅金融支援機構『マイホーム維持管理の目安【一戸建て(木造住宅)】』(屋根/2026年10月21日確認)
  7. 国土交通省 リーフレット『2025年4月から ルールを改正します!』(壁量計算の見直し/2026年10月21日確認)
  8. 日本建築防災協会作成・国土交通省協力『令和4年1月1日から瓦屋根の緊結方法が強化されます』(緊結方法・耐風診断/2026年10月21日確認)
  9. 環境省『平成21年度 環境技術実証事業 建築物外皮による空調負荷低減等技術 実証試験結果報告書』(実証番号051-0958、全体概要2・4・5頁/2026年10月21日確認)
  10. みらいエコ住宅2026事業『事業概要』(リフォームの対象住宅、予約と申請の期間/2026年10月21日確認)
  11. 住宅省エネ2026キャンペーン【公式】(リフォームの対象工事と予算の状況/2026年10月21日確認)