古い戸建てを買ってリノベする前に、確かめておきたいこと

古い木造の戸建ての前で、図面を広げて家を見上げる家族の絵

子どもと長く暮らす家だからこそ、買う前に確かめておきたいことがあります。築50年ほどの戸建てをリノベしたわが家の経験も添えて、順にまとめました。

最終確認日 更新

先に結論

  • 1981年5月以前に建てられた家は旧耐震基準です。耐震診断と補強の費用を、買う前の予算に入れておきます。
  • 中古の住宅ローン控除は、1982年1月1日以後の建築か、耐震基準を満たす証明が条件で、取得から6か月以内に住み始める必要があります。
  • 木造2階建ての大規模なリフォームは、2025年4月から着工前の建築確認が必要です。控除の「6か月以内」と補助金の締切から逆算して、工期を組みます。

建てられた年で、耐震の出発点が変わる

国土交通省は、1981(昭和56)年5月以前に建てられた建物は、いわゆる旧耐震基準で建てられていて、それ以降の建物より地震に弱いと説明しています。大きな地震で亡くなる原因の多くは、家屋や家具の倒壊です。子どもが毎日眠る場所だからこそ、まず建てられた年を確かめておきたいところです。

旧耐震の家なら、建築士などによる耐震診断で今の強さを知り、足りなければ補強します。国の特設サイトには、築50年・2階建て・延べ面積約100㎡の木造住宅で、耐震改修に224万円ほどかかるというモデルケースが載っています。費用は家の古さや大きさ、工事の方法で変わり、お住まいの自治体の補助を受けられる場合もあります。

買う前に建物の状態を見てもらう方法には、「建物状況調査(インスペクション)」があります。講習を修了した建築士が、基礎や柱などの骨組みと、屋根や外壁など雨水を防ぐ部分を、目視や計測で調べるものです。時間は1〜3時間、費用は6万円程度からが目安とされています。買主が頼む時は売主の同意が必要で、すべての不具合が無いことを約束するものではありません。

国土交通省は、個別の家の耐震診断や耐震改修を直接行っていません。「国の依頼で耐震診断に来た」といった訪問には気をつけて、お住まいの自治体の窓口に相談してください。

出典:国土交通省の耐震化のページと特設サイト、建物状況調査の手引き(最後の「出典」の1〜3)

断熱は、補助金の締切と一緒に考える

フルリノベで壁や床をいったんはがすなら、断熱材を入れ直したり、窓を替えたりする機会になります。断熱の工事には国の補助があり、申請は工事をする登録事業者(補助の事務局に登録した施工会社など)が行います。2026年の2つの補助は、どちらも予約が遅くとも11月16日、申請が遅くとも12月31日までで、予算に達するとその時点で締め切られます。

補助対象上限
先進的窓リノベ2026窓やドアの断熱改修(2025年11月28日以降の着工)1戸100万円
みらいエコ住宅2026(リフォーム)2016年末までに建てた家の省エネ改修など(2025年11月28日以降の着工)1991年以前の家は1戸100万円

みらいエコ住宅の上限は工事の組み合わせで変わり、1991年以前の家でも、窓と壁などの断熱だけなら50万円です。

どちらも年ごとの予算で決まる事業です。これから物件を探す時は、工事をする年の制度を改めて確かめてください。窓の補助の使い方は窓の補助金の記事に、屋根の断熱は屋根と断熱の記事にまとめています。

断熱の性能は、住宅ローン控除にも関わります。断熱等性能等級4以上などを満たす「省エネ基準適合住宅」と証明された中古住宅は、2026年以降に住み始める場合、控除の期間が13年になります。証明のための調査は、取得の日の前2年以内か、取得の日から6か月以内に終えたものが対象です。

出典:先進的窓リノベ2026・みらいエコ住宅2026の事業概要、国税庁(最後の「出典」の4〜6)

住宅ローン控除は「建てた日」と「住み始める日」

住宅ローン控除は、年末のローン残高をもとに、その0.7%を所得税から差し引く仕組みです。中古住宅で対象になるのは、1982年1月1日以後に建てられた家か、取得の日の前2年以内に耐震基準を満たすと証明された家。耐震基準が変わった1981年6月とは日付がずれるので、登記事項証明書で建てた日を確かめておきます。証明の無い古い家でも、取得までに耐震改修の申請をして、住み始めるまでに改修と証明を終えれば、「その他の住宅」として対象になる道があります。

中古住宅の区分借入の上限期間
その他の住宅2,000万円10年
省エネ基準適合住宅2,000万円(子育て世帯等は3,000万円)13年
ZEH水準省エネ住宅・長期優良住宅など3,500万円(子育て世帯等は4,500万円)13年

2026〜2030年に住み始めた場合。子育て世帯等は、19歳未満の子がいる世帯か、夫婦のどちらかが40歳未満の世帯です。

ほかにも、取得の日から6か月以内に住み始めること、床面積が50㎡以上(所得などの条件を満たせば40㎡以上)であること、その年の合計所得金額が2,000万円以下であることなどの条件があります。国や自治体の補助金を受けた時は、その額を住宅の取得の対価から差し引いて計算します。リフォームの借入は別の区分で、上限は2,000万円・10年です。購入とリノベの費用をどう借りるかで扱いが変わるため、契約の前に金融機関と税務署に確かめてください。

出典:国税庁 No.1211-3、国土交通省の税制改正の概要(最後の「出典」の6・7)

工期は「買ってから住めるまで」を長めに見る

2025年4月から、木造2階建てなどの大規模なリフォームには、着工前の建築確認(計画が法律に合っているかを確かめる手続き)が必要になりました。大規模なリフォームとは、壁・柱・床・はり・屋根・階段のどれかについて、半分を超えて改修することです。階段の架け替えや屋根の全面的な改修は含まれ、屋根や壁の仕上げ材だけの改修は含まれません。キッチンや浴室など水回りのリフォームは、原則として手続きが要りません。延べ面積が100㎡を超える家で大規模なリフォームをする時は、建築士による設計と工事監理も必要です。今の法律に合っていない所があれば、合わせる工事が別に必要になる場合もあります。

工事の間は、今の住まいの家賃と新しい家のローンが重なることがあります。また、中古住宅の住宅ローン控除は、取得の日から6か月以内に住み始めることが条件です。工期が延びてこの期限を過ぎることのないよう、住み始めたい月から逆算して、工務店と日程を組んでおくと安心です。出産や育休の時期と重なりそうな時は、打ち合わせや引っ越しをいつ、誰が担うかも、家族で早めに話し合っておきたいところです。工務店と契約する前や工事中に確かめておきたいことは、工務店の記事にまとめています。

書いている私(RYU)の場合

2023年に、大阪で築50年ほどの戸建てを買ってフルリノベをし、今はそこで暮らしています。上の子が生まれて間もない時期でした。買ってから完成まで約9か月、そのうち間取りを決めるだけで半年ほどかかっています。妻が間取りと家の中をぐるりと回れる動線を考え、私が素材を中心に調べて、わが家がお願いした工務店と打ち合わせを重ねました。

買った後、壁や床を開けて初めて分かった傷みがあり、動かせない柱をどう生かすかにも悩みました。リノベの費用まで含めて借りられるローンも、ずいぶん探しました。窓は先進的窓リノベの補助金を使って断熱の窓に替え、壁の断熱もやり直しました。住んでみて、わが家では断熱の効きと、外の音がほとんど聞こえない静かさを実感しています。

出典:国土交通省の建築確認のチラシ、国税庁 No.1211-3(最後の「出典」の6・8)

書いた人

子育て家族の住まいを、30年のお金で考える。

RYU

築50年ほどの戸建てを買い、自然素材でリノベーションした2児の父です。

  • 工務店と打ち合わせを重ねて、フルリノベーション
  • 窓の断熱リフォームで、国の補助金を活用
  • 数字は国や自治体、メーカーの資料で確認

建築士・宅地建物取引士ではありません。工事や契約は、工務店や専門家に確かめてください。

次に読む

出典(一次資料8件・2026年10月21日に確認)
  1. 国土交通省『住宅・建築物の耐震化について』(昭和56年以前の建物の耐震診断・支援制度・訪問への注意/2026年10月21日確認)
  2. 国土交通省『住まいの耐震化 家族を思う、強い家』(1981年5月以前の建物、よくある質問の費用のモデルケース/2026年10月21日確認)
  3. 国土交通省『建物状況調査(インスペクション)活用の手引き』(1〜2頁/2026年10月21日確認)
  4. 先進的窓リノベ2026事業『事業概要』(上限額・対象期間・予約と申請の期間/2026年10月21日確認)
  5. みらいエコ住宅2026事業『事業概要』(リフォームの対象住宅・上限額・期間/2026年10月21日確認)
  6. 国税庁 タックスアンサー No.1211-3『中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合』(令和8年4月1日現在法令等。共通の適用要件1・3・9、計算方法、省エネの証明の時期/2026年10月21日確認)
  7. 国土交通省『令和8年度住宅税制改正概要』(報道発表資料の別紙1)(1頁:借入限度額・控除期間・床面積要件・子育て世帯等・リフォームの借入限度額/2026年10月21日確認)
  8. 国土交通省『木造戸建の大規模なリフォームに関する建築確認手続について』2025年3月版(表裏/2026年10月21日確認)